POEM 〜優しい時間〜

ひょんなことから始めちゃいました。詩や文を書くのが好き。気まぐれで書いています。気分は晴れ時々雨、そしてくもり。

ほろ、ほろり

遠くに連れて行ってくれる

あの乗り物は

金が鳴るまで

僕を乗せてくれない

僕は何度も乗せてくれと嘆いた

金は鳴らなかった

 

金が鳴るように僕のために

星が月に向かって踊ってくれた

涙を浮かべて踊ってくれた

君が乗れるようにと

白い膜を脱ぎ捨てて

 

僕はいつの日か

暗い朝にひとり目覚めた

君が眠る部屋を飛び越えて

高台の上に走った

向こうで鳴る金の音が

微かに聞こえたからだ

 

僕は遠いところに行った

案内図が貼られた看板の下で

ひとりで泣いた

ほろ、ほろり

ほろり、ほろり、

ほろ、ほろり

 

一粒の涙をこわいものにあげた

こわいものは遠くに消えた

 

あの乗り物は

僕の横に腰をかけた