紺碧の君
紺碧の君を思い出す
暗い夜へ飛び出して行った君のことを
マフラーはいらないのか、
手袋は持ったか、
時計は持ったか、
寂しくはないのか、
寂しくなったら戻ってこい、
紺碧の君は
何も言わずに
ひとりで飛び出した
紺碧の君は
自分の青さを知っている
ぼくはただそれだけを
心で分かっていた
紺碧の君は
今何をしているんだろう
時々、
いや
時間の端っこで
この道を眺めながら
君を思い出す
遥か遠くに向かっている君が
いつかこの僕を
連れて行ってくれることを
僕は知っている
紺碧の君よ
君はもう
海へ渡り空を仰いだか