POEM 〜優しい時間〜

ひょんなことから始めちゃいました。詩や文を書くのが好き。気まぐれで書いています。気分は晴れ時々雨、そしてくもり。

2021-01-01から1年間の記事一覧

小さな人が生まれた

誰かを助けて 笑って 泣かせて 下の下で上がっていく人たちを 踏みつけていく大きい人を 私はゆっくり見ていた 呼吸を止めると 苦しくなるから 大きく息を吸って 歩くだけ歩いた 大きい人は 上から押しつぶされて 消えた 小さな音を立てて そっと消えた 白い…

春を祈るあなたがおかしくて

花を見ていると 眠くなる君の横で私は眠る 寝息をたて 目を瞑り 春を祈るあなたがおかしくて わたし そばで ひとり 笑った 緑のカーテンに包まれた午後 雨が降らない日の花の声が 聞こえてきたから わたし 花と話してくる そこであなたは眠っていて

自分にさよならを

さよなら、さよなら もうすぐそこまで さよなら 背伸びの分まで、 さよなら 夕日の足跡、 追いかけたあの日を 振り返る さよなら さよなら その日に さよなら

ふたりの花

滑り落ちた 光の粒を集めて 届ける前に あなたと眠る ゆらりゆらりと 揺れる花を 見ながら眠る きっとそばにいるだけで 涙が明日に渡るのだから 細い細いその水をつたって たどり着いたのは昨日 深い深いところをくぐって ふたりの花を見つめていた

ふたりで

そこで この日を 見よう ええ、 その日がいいわ いや、 その日に限って 会えないんだもの 違う人の違う日に したいな ふと、ふたりで 決めたものだけが あなたになっていくのだ その日を追いかけて あなたはその人に 会えるのだ いつか 会えるのだ

奥の青

震えるほど 走って 息も遠くなったいったあの日 あなたと出会って 私たちは朝までダンスをして 夏の夜明けみたいに 月の下で大きく息を吸った 目の前の霧が じわじわ広がって そのうち消えた あの日だけが 私たちの一日だったように そうっと 消えた

花の鐘

いいよの音で 鳴る鐘が せわしなく響く 朝の音で 夜のあなたが 目を覚ます 冬の旅が夏の道へと誘って 秋の小道に花を咲かせる そうやって 大きくなっていく花を見て 流れていく波に 葉はしずくを垂らす

強い光を細目で見ている夢を見た 遠くの炎がゆらゆら揺れて まるで僕らの背を焦がしているようで 果実の甘い香りさえ わからないほど 赤に包まれていった 泣いても泣いても いつまでも消えぬ夢の先で 僕の胸の中で息をする君の鼓動が 弾けていたから なんだ…

白いベッド

白いベッドの上で眠る 誰もいない部屋の角で 風に揺られながら眠る オレンジの光が 涙に包まれた昨日を思い出して やわらかな甘い果実の匂いに 心踊る 時々触りたくなる その儚さに 何度も何度も 凍えてしまうあなたに 二人でそばにいられたらと 温められた…

花になる日

精一杯の花が 歌って踊る夢を見た そよそよと川を下り 大きな空を一回転 それから憧れのあの橋を 走り抜けた 夢を抱いた夜を 明日が追いかけて 柔らかく包むのを待つ どこかで聞いた 手を離して 一度回ってみると さらに飛べるようになると あなたは今から …

離した手を

ひらり離れた手を 握るまでに 私は旅に出る 遠い旅だ いつかまた会える日に 君と長い夜を願う 不思議だ 君がもういないんだから まるで一人きりに思える朝がくる きっと思い出すと泣いてしまうから 胸の奥に 抱き締めた 歩くとかかとから 涙が出て 振り返る…

ほほ

手と胸が ばらばらと 川や海に落ちて 通りかかった夢が 拾って 明日の君が迎えに来る ああ それで良かったんだと 頷くと 後ろには君がいて 緑の糸と白の羽が 風を強く吹かせる さよならを告げる音が 祈りに似ているから わたし そばで泣きました

甘えた日

手ですくって それから解けて 横になって それから 夢で出会って うつむいた あなたのそばに並んで 手ですくって それから 夢で泣いて あなたの横顔を眺めて 手で拭いて 頬にくすぐる 涙があたたかい

言えないこと

敢えて触らないでいる 誰もかも 本当は 声にしたいのに そうしたら 解けて 体の隅にある まとわりついた羽が 消えるから 恥ずかしくて 言えないんでしょう 服を着ているあなたの隣で 私は白い体になる 目を逸らした先に見える 薄桃色の昨日

誰の音でもない

その音を聞かせて 果たしない音を 触れたその手で 淡い白いその目で 微かに祈るその夢で 眠る前のほんの少しの間 窓の遠くで 羽ばたけるように