2020-07-19 引っ張る ゆりかごの中で 驟雨は今日も降り 何度も歩いた道を走って 泣いた日の空を仰ぐ 振り返った途端に 空気が濁り 紫色の花を摘んだ 少女の手を握りしめて 丘を下る 手が真っ赤になるくらい 握りしめたから 僕の胸の鼓動は早くなる 白い服で包まれた あの淡い時間を取り戻して どうか、どうか僕を 陽に照らしてくれないか 桃色の月の下で 僕はそう言って 檸檬色の果実を眺める