1983
25年前の今日、
彼女は生まれた 田舎の産院で
大きな産声を上げた 力一杯この日を 待ちわびていたかのように
35年前の今日、 彼女の父と母は出会った
スーツがよく似合う父 優しい笑顔がよく似合う母
二人は付き合っていた頃、 母は マーガレットのブローチをつけて
ピンク色の花柄の
ワンピースを着て
商店街にある珈琲屋さんで よく待ち合わせをしていた
父は いつも 5分遅刻をしていた
「昨日 会社の飲み会で飲みすぎちゃった、ごめん。 」
そう謝って いつも母を困らせた
「また今日も遅いわね 」と言う母
でも
笑って母は
いつも許していた
いつの日か 二人は
未来の事を
考えるようになった
もし 将来 二人の間に 子どもが生まれたときは
あなたに似た女の子に
小春と 名付けたいと
決めていた
そう、決めていた