POEM 〜優しい時間〜

ひょんなことから始めちゃいました。詩や文を書くのが好き。気まぐれで書いています。気分は晴れ時々雨、そしてくもり。

poem

はじめての夜になって

はじめての夜になって あなたの頬に滴れる一雫 一緒に飲んだ 苦い味のスープが かなしい あなたの胸に張り付いている私は 甘い夢と共に彼方の方へ ああ、 こうやって 溢れていくんだねと あなたは抱きしめる はじめての夜は 冷えて 凍えて 涙さえも溢れず 瞼…

朝の光が見えぬ前に

朝の光が見えぬ前に リュックに 三年分の荷物を詰めておいた この前撮った写真 あの子の涙で滲んだハンカチ それから 遠くまで運んでくれる風の便り リュックの下から上まで ひとつひとつ 三年分の時間を詰め込んだ 本当のことを言えば リュックに詰めるか迷…

今夜、月が生まれる

幻惑状態になった 目が眩むほどだ 歩けない私は 呆然と立ち止まって 隣の丘を見た あぁ、今夜も月が生まれるんだな そう一言呟いて 飛行船に乗って私は家に帰る

誰かに会えるなら

誰かに会えるあの森で 私はひとり、 鍋に細かく刻んだ野菜を 煮込んでスープを作っています でも、周りには誰もいません それでもなめらかな 甘いスープを日が暮れるまで 煮込んでいます 時々、森が暗闇の中に包まれて カラスは鳴き、雨がざぁざぁと降り始め…

飛び降りる

何度も答えて 何度も震えた夢を あなたは駆け足で自分の向こうへと 飛び降りる そこには誰もいない世界が 待っていても 白い花を抱いて 灰色の砂浜へ せーので、ジャンプ きっと夢が見れると思って 大きく、ジャンプ 遅くても早くても しなやかでも ごつごつ…

いつだって

いつだって 走れる いつだって 歩ける いつだって 踊れる いつだって 悲しめる 君だって 走れる 君だから 走れる 走れないときは 歩ける 歩けないときは 踊れる 踊れないときは 悲しめる 全てのこと 全ての昨日 全ての明日が 全てのきみ きみの全ては いつだ…

水の中でぼくは服を脱ぐ

水の中で ぼくは服を脱ぐ 汚れた服を着ていたわけでも この服がぼくを汚したわけでもない 淡い色の服は 泡と共に 下に沈んで なめらかな揺るぎない坂を下る そこを深く辿ると 重い匂いがして なんだか僕は眠くなる そのあと僕は まあるくなって 服と共に ぐ…

あなたの行く路を

あなたの行く路は 薄らと雪が積もったような 冬の路ですかと わたしが尋ねたら あなたは いいえ、わたしの行く路は 野原に咲く花をいつか花束にして 二人の愛しているひと同士が その花束を送り合えるような路ですと 答えました それからというもの あなたと…

走るから走れる

走るから走れる 先に君が走っているから 走るから走れる 歩き慣れた道ではないけど 走るから走れる 遠回りだけど 走れるから走れる 暗いトンネル通り抜けてるから 走れるから走れる 君もいるだろうから 走れるから走れる 見たことのない春を 迎えにいきたい…

途端に消えて

古い話を聞いた 空に羽ばたく鳥を見た 誰もいない部屋を開けた 枯れた花の下で手を振った 恋の歌を歌った 君と歌った そしたら君が 途端に消えて 深い眠りに誘われた

民の音

どこかで今日も足音が 出ていく 追いかける 走り出す 騒音の中にかき消されて 与えられた音を 今日も奏でる 早く走りたいと思う日も 今日はあなたに会ってから 走っていきたいと願う日も 音はあなたを通り越して 先を行く

いつか出会うあなたへ

いつか出会うあなたへ 私はあなたに出会えたのは きっとどこかで あなたに会えると思っていたからです 泣いているあなたを 後ろから温めにいきたいと 思っていたからです いつか出会うあなたは 真っ暗な深い谷を 一人で眺めて そこで胸の高鳴りを抑えて 静か…

らららの音

誰も知らないんだ らららの音 僕は知っているさ らららの音 昨日の夜も聞いたのさ らららの音 二人でお迎えにいくのさ らららの音

君の庭、ぼくの庭

君の庭に遊びに行った そしたら 君は 体育座りをしていて 眠そうにしていた 僕は声をかけて 背中をさすった 凍えているはずの 手でそっとさすった そしたら 君は ぼくの庭に遊びに行きたいと言った 喜んでぼくは走って 君をぼくの庭に呼び寄せた 君はぼくの…

だんだんドーナッツが美味しくなって

だんだんドーナッツが美味しくなっていく あの子にもあげようかなと タンスの中から 紙袋を一つ だんだんドーナッツが美味しくなっていく まあるいおめめの あの子にあげたら 喜ぶかなと お祈りしながら 届けに行く だんだんドーナッツが美味しくなっていく …

6月のキス

それなりに ふたりきりで きめたはずなのに それがどうして それとも どうして つめたいあなたの ほほに よりそう あたしの ぬくもりを はれた日も わすれないで もうちょっとで いいから あと 6秒 5秒 そのはなしをしましょう ふたりが キスをおもうくらいに

あたたかいケーキ

冷たかったケーキを あたためた 震える指先で あたためた じわじわと あたたかいものが 飲みたくなって 乾いた窓辺に 座って コーヒーを飲んだ 外は凍える冷たさで 秋は寒いと雨は嘆く 誰にこの気持ちを 歌おうかと 雨は嘆く あたたかいケーキが ほろっと ソ…

みまもりたい

守りたいときに あなたはそばで 微笑んで見ていて 見たいときに あなたは守ってくれる 時計の針が少し 遅く動いてるときに あなたの頬に 触れる鼓動が 時々 早くなっていく もう少しで 甘さの温もりが あなたへと じわじわと とけていきそう そしたら このま…

都会のマンション

一人で帰る道を 歩道橋の上から 独り 静寂を 探している いつの間にか 夢の騒音に かき消されていく 私の願い あなたの名前は なんだったかしら あなたの瞳は 青かったかしら 触れた指は 涙の川へと 流れたかしら 別に 寂しくはないけれど 思い出してしまう …

言葉の伝言板

見えない今日を 繋いでいた 遠い過去からの 伝言板 今、あなたに渡しますよと その一言を付け加えて 時間を忘れた 小鳥が 届けに来た それは 見たこともない きらきらした 秘密の一ページ 淡い色した 優しい表紙に 包まれて 私の元に 遊びにきた でもね 前の…

好き、だから愛して

あなたの身勝手な言い訳に 付き合わされて 振り回されて 転がされて 踊らされて 一息ついて また元通り 遠くで 振り向くと あなたがいて 近くに現れると 見えなくなって それでもあなたがいいと そんなあなたがいいとさえ 思ってしまうの あなたの散りばめら…

じぶん

あの人と考えが似ている どう考えても 何回考えても あの日と 同じようなことを言っている 同じ時間に生きていないのに 同じ時間を過ごしていないのに ただ会って、話した、あの時間だけが 横に広がって、縦に流れていく あの人には ならないけれど あの人の…

そんなに恐いか

そんなに恐いか 前に進むのが そんなに恐いか 後ろを見るのが あなたの横とあなたの斜め右は 広い花畑のようになる だれも見たことのない ラベンダー色の空に 緑の雲がかかって 青い太陽が 昇る前に進むのが そんなに恐いのか

デート

だめかなって聞く前に それでいいよ、って言うあなたに 愛を抱く夜です そんなことを何度も言われたら 頬を染めて 泣いてしまいそうになるのです あなたは いつもいつも わたしを待っていて 遠くに行かないよって 言っているのに 心配そうに星を見る 幸せな…

ふっつく

ふかふか ふとんで ふっつく くっつく はがれず こいしく ふっつく ねむれぬ あのよる ないても あなたが こいしく ふっつく なんだか あっつく なってる

淡い間

かすかに 見えるようになった ほのかに甘くて、苦いものを 食べさせてくれたおかげで 眠れぬ森に 囲まれた時代に あなたが 会いにきてくれたおかげで

ちょっと、いとおしい

あなたのいない世界で 生きるって どんなに青白いのかな あなたのいない未来で 隣に誰も抱きつく人が いないなんて どんな風が吹くのかな あなたの見えない横顔が 乾ききって 細くなって まるで三日月の線に そっているような 気分に私がなっても あなたには…

生きてる宇宙

限りない時間と可能があるとしたら 宇宙と共に生きていることになる 君がみた景色は 忘れたくても忘れられないあの人が 見たかった景色で その色は何色ににも染められず ただ一つの手によって 変えられてしまった その人を思う心さえあれば どんな風にも涙に…

通らない道

もう2度と通ることのない道を行く 小さく咲く花も 君を輝かせた夕やけも ぜんぶ追い越して 通らない道を通り抜ける もう一度君に会えたら 何て声をかけようか もう少しここに居た方が 良かったのだろうかと 聞くだろうか この靴もあのサンダルも この道です…

ももいろ

わたしたちは 時々 ももいろのこころを 隣の人に与えたまま 何処かへ行ってしまう 偶然すれ違っただけの 隣の人に ももいろのこころを そっと置いて 風のように 走っていく 隣の人は あおいろのこころを ももいろのこころに変えて 誰にも言わずに 持ち帰って…