朝の光が見えぬ前に
朝の光が見えぬ前に
リュックに
三年分の荷物を詰めておいた
この前撮った写真
あの子の涙で滲んだハンカチ
それから
遠くまで運んでくれる風の便り
リュックの下から上まで
ひとつひとつ
三年分の時間を詰め込んだ
本当のことを言えば
リュックに詰めるか迷った
詰め込んでしまうと
下の方は取り出せないことを
分かっていたからだ
でも君は言ったんだ
取り出せないほど詰め込まれたリュックは
あなたの震えた手を引いて
いつか、いつか
遠くに連れて行ってくれると
だから僕は毎日、
毎日のように
繰り返される朝の光が見えぬ夜に
詰めた
時々手伝ってくれる
君のぬくもりに触れながら
詰め込んだんだ
朝の光見えぬ前に
僕は旅立つのだから