潮風、そして自転車
あなたを迎えにいく
遠く離れた島にいるあなたに
数年前の手紙は読みましたか
夕日の沈む夜はひとり、泣きましたか
どこへでも行けると思っていたあの頃に
今も戻れますか
旅を終えて帰ってきても
隣で荷造りをするあなたは
目を凝らしながら地図のない道を
探しながら走っていました
今も走っていますか
隣にいるあなたの涙が
ほんの少しだけ
あたたかった
あの夜のことを
じっくり思い出してしまいます
あの時間を駆け抜けて
追い越して
潮風を大きく追い越した
長く遠く離れた島で
あの自転車で短い夏を
送ったあなた
平気で水に飛び込むあなたのもとへ
空気を入れて
今