POEM 〜優しい時間〜

ひょんなことから始めちゃいました。詩や文を書くのが好き。気まぐれで書いています。気分は晴れ時々雨、そしてくもり。

2020-01-01から1年間の記事一覧

引っ張る

ゆりかごの中で 驟雨は今日も降り 何度も歩いた道を走って 泣いた日の空を仰ぐ 振り返った途端に 空気が濁り 紫色の花を摘んだ 少女の手を握りしめて 丘を下る 手が真っ赤になるくらい 握りしめたから 僕の胸の鼓動は早くなる 白い服で包まれた あの淡い時間…

今日という日にさよならを

僕は歩いた 鉄板の上を 僕はしゃがんだ 道端の花の側で 僕はうつむいた 海岸近くの珈琲屋の前で 僕と並んだ 隣の人が深く涙を落とした 僕の涙に触れて、それを落とした 消えない花を持って 手で掴んで 波が僕たちの背中をさすった 不思議だ 今日という日に …

さよならの挨拶

言えないから抱きしめればいい 抱きしめられないから言えばいいと あなたは言うけれど 私のぬくもりを誰よりも知っているのは 紛れもなくあなたで さよならの挨拶が遠くなった今、 あなたからの聞けない言葉だけが 私を抱きしめるのです どうか、この夢の果…

あの風を憶えているか

懐かしくも 恋しくも もうあの風は吹かないと あの春を迎えた朝に 背伸びをした小鳥がそう嘆いて 冬の足跡が寒々しかったと 夏の葉は歌う 水面を泳ぐ羽はもう飛び上がることを知らず ただ空を見上げているばかり 花が上へ上へと歩く時 風がそよいで ふわりと…

遠くで、また

足から胸まですっと 背を伸ばした先で あなたと歩いて 誰かとその先で 出会っても 忘れない夢を 抱いて 幾度の夜も越えて 見えない涙の跡が 少し恋しくて 拭う暇もなく あなたの横顔を眺めて 遠くの街で さよならという あなたの横顔が さみしくて

葉書

地球が二周回ったみたいで 気付いたら隣にいるみたいで 手のひらの温度さえも感じられず どこかの鳥があなたに向かって 羽を広げて ただ嘆くだけ 今度、会ったら 何を話そうか 白いワンピースが揺れた朝に あなたからの 一通の葉書が来るまで 今日も暑い一日…

届かぬ手紙

届かないのに 届けられないのに 届けたくなるのは わたしだけですか もしも、 この手紙の一文字や二文字が浮かんで あなたの手のひらや頬に ひらりと張り付いたら 届いたことになりますか それでも構いません 動く言葉だけが加速させて いつしか届いていたこ…

眠る涙

小川の水が恋しくなって 気付いたら手ですくって口まで運び そのままごくんと一口で飲む 泡の中に溶け込まれて 雫となって肩の上に触れる 甘さが染みて 遠くまで吹き渡る風が ほんの少し心細くて 花の色が鮮やかになるまで ここで祈ります

なんだか美味しそうな

月の音が聞こえて 側には流れた涙が煌めいて 不思議だねと僕は言う いつだってそうさ 先に君は走って 手に取るものも美しいんだ でも僕の夢は君には教えられないほど 蒼くて脆くてはかないんだ 幸せだろう? 僕は空の音が聞こえるからさ こうして話している…

別の夜のこと

ある朝目覚めたら 君が居たら 細くて白い手を出して 歩き回ってまた眠るのさ 別にその日じゃなくても 僕たちは遠い国に渡るために ボートと一つのスパイスを 用意して 支度が出来た頃に また歌うのさ 別の夜のこと ふかふかの布団の上で

メートル

遠くにいるらしい 上にいるらしい 届かないし 触れられないから 伝わらないんだよ そのくらいでいいんだけれど 誰がいつつくったのかな ここら辺には お揃いのものがいくつもあるから 怖くないでしょう 退屈そうに見えて そんなことないのかもよ 夜の街にお…

鼠色の雲

誰もいない夜に ひとり歩いてる それでもいいんじゃない 誰か1人でも会えるかもしれないから 転げ落ちるよりは素敵じゃないかな 君がいて 内側からオレンジの香りが漂うんだよね きっとそうだよね 今何が見えた? スポットライトの下で踊るあなたが はにかん…

あの日の角で

どう? 明日も振り向ける? 誰がオブラートを取るんだろうね ほら、スカートが揺れたよ 誰と走る? スタートは確かに恐いよ 震えるまでここで待つ? スニーカーを変える? 涙の雨が降るまでは 確かに恐いよ もう近くまできているけれど 気温が下がるまで待つ…

とけないで

とけないで 笑うまでは とけないで 話し合うと とけるから 青い街を歩いて 舞台を降りたら 月が霞むから とけないで 笑うまでは あなたの頬を 包んでいて

生命のスープを煮込んで

生命のスープを煮込んで さあ、はやく 誰も来ないから 誰も見ないから こわくないから 目を閉じて、奥で散歩してるから このまま すぅっと 溶け込んだままでいるから 足音も立てず、揺らさないでいるから 押さえた思いが溢れるまで ほら、はやく 生命のスー…

水溜り

ぽちゃん、 どこに行くの、 どこにいたの、 この音が聞こえたら、 返事ができるかな、 ぽちゃん、 水が跳ねる音に あなたの声がする 微かに聞こえたのに もう忘れてしまった夏のよう 雨宿りして待っているから 今日も傘を忘れた小鳥が鳴いている ぽちゃん、 …

知らぬ旅

誰のために 歌えばいいのか 誰のために 踊ればいいのか 悩む鳥は ただ一つの青い空を 眺めるたびに 嘆き続けている 一つの願いが押し寄せたら 消えて 増えたら減って 音の流れが 美しくなるのを 待っているかのようだ 知らぬ間に 雲になってしまう鳥は そん…

すくっても

ここでじっとしているうちに 溜めといた水に魚を入れて それからこの魚が泳げるうちに あの人に渡しに行けたら 川を下り雨が降り 日差しの中であなたが待っていて そこでこの魚をあげるのです 喜んでくれますか 私には魚に見えますが あなたには 魚に見えな…

青い葉

太い幹に連なって 光の奥にいけたら 飛べるんだっていってたけれど 本当かな あの頃の写真には そう写っているから そう信じたいから そうすることにする 青い葉についていったら 重くならずに 帰ってこれる気がするからさ

体に吸い込まれて

体に吸い込まれてしまいそう 自分の体に 内側からゆったりと 横や縦に滑るように 渦を巻きながら 吸い込まれてしまいそう このまま見えない泡の中に 入ったら 眠ってしまうのか 胸の奥から入って 帰る先も胸 奥に吸い込まれたら もう誰も見えなくなるかな

遠くの森

遠くの森へ行ったら 僕は生きていた 息をして涙は乾いた 鳴き声が柔らかくて 地に入ってしまいそうな泣き声 僕らもそこに行けそうな気もしたんだ 誰もいないことはない 誰かはいるのさ 僕はそれでもいい ただそこに誰かといるだけでも

ほんとうはね

おはよう、 まだ夢を見ていたかったよ このまま消えてしまおうかと思っていたんだよ でも、 まだ夢も見ていたいよ このまま果てしなく遠い誰もいない旅に いけるんだよね そうしたら僕は、 まだこの夢を抱きしめているよ 眠くなったら寝て、会いたくなったら…

淡いメロディー

消えなくても消さなくても いいのです あの人もきっと消さないのでしょうから 誰よりも思っているのに 言葉には出さないのでしょうから それでいいのです

どうでしょうか

本当は思ってたんですか 一度でもいいから 本当は思ってたんですか そのままがいいと 本当は思ってたんですか 一夏では少なすぎたと 本当は思ってたんですか このまま朝が来て欲しくないと 本当は思ってたんですか 誰にも言えなかったこと 思ってますか 心の…

シャツの襟

いつ買ったのか いつから付けているのか 無くても平気なのか 何色が好きなのか 分からないけれど 話をするたびに つけているから きっと必要なんでしょうね 次もきっとつけているでしょう

君には見えないうそ

ラの音が聞こえない ミの音が聞こえない どこかに落としてきちゃったかな 今から走ったら取り戻せる? 不安になるから もう聞こえなくていいよ だって僕をまっている間に 君には何も感じられないんだもの

ドアを閉める音

もう戻れない気がした 音は僕らを呼んでくれないと そんな気がした 不安な夜ならそれでもいいよ コーヒー豆買ってきてくれたらね 晴々とした君の顔を見れるならね 僕らはいつまでここにいるのかな 君が一番分かってるんじゃないかな

たぶん、それって

ふたりでいること ふたりがひとりになること ひとりがふたりになること 森の中で埋もれかけた日々を 誰かに教えること 見知らぬ誰かに 羨ましいと言われること 僕らは僕たちのままで ふたりきり それって、甘くて苦しいんだ だって、ぼくらふたりきり とろけ…

僕を

青い星を捕まえにきた 赤い星はもう君の手元にあるから 抱きしめて寝たらいい そっと抱きしめないと 崩れて粉々になって 手先から白い滴が溢れるから いいよって言うまでそっと、おねがい もしも粉々になっても 君の夢は僕は見るから 心配しないで眠るといい…

押し込めて、追い出して

薄れていく涙の後に 今宵も流れていく月の光が 胸の中に染み渡り 溢れて溢れてあふれて消えない 消えそうにもないのに 僕は消したくて ちょっとそこまで 歩いてみたらこのあとは 少し膨らんだ袖が萎むのかなと 濁った川に砂を落とす ひらひらと僕の手を離れ…