POEM 〜優しい時間〜

ひょんなことから始めちゃいました。詩や文を書くのが好き。気まぐれで書いています。気分は晴れ時々雨、そしてくもり。

小舟

大きくなったときに 見たいものは何? 古い思い出 ちいさな夢 それとも昨日の出来事 遠い記憶からずっと繋がっていく 微かな手の温もり あなたにしか分からないもの 誰かに譲れないでそばにある 見せることなく そっと、ただそっとあるだけで 煌めくのだから…

シーツにラベンダーの香り

どんなに遠くに行っても 近くにいる気がするのは あなただから そうつぶやいて去っていった あなたが恋しい ぽつりと溢れた涙の川を 晴れの日に買った傘で渡る ひとりの夜 眠くなるまでそばにいてくれた あの時間をもう一度 紫の夢があなたを包むのを 今夜も…

願うあなた

どこまでもいけると そう願うあなたは 月の果てに消えていく ここまでしか歩けない そう決めたあなたは その分の距離を歩く わたしから見たあなたは 遠い道のりを1人静かに 歩みを止めず 細い道をくぐり抜け 今ここに立っているのだと そう思うのです

ボート

気付いたら遠くにいて 触れる 届きそうと 言っていたあなたが 懐かしく思います あの日から 走り続けた日の夕焼けが いつしかのあなたを追い越して 眠れない夜 漕いだボートを隣におき 艶やかな花を浮かべた 涙のスープを飲み干し 今はもうたどり着いた孤島…

一度も離れなかったよ

一緒になって 一度も離れなかったよ すぐそばにいて 忘れようとしても そばにいようとしたこと 聞いてもらったこと その温もりから 芽を出した日から 歩き出せると 昔のあなたは言うから その道をくぐり抜けて 放つ光の中にいる 置いていかないよ 一緒にいこ…

スパイス

何度も味わって食べたあのご飯に 秘密のスパイス 加えたら美味しくなりそうと あなたは言うけれど あなたの横で 今日もごちそうさまと言えること これが あなたと私のスパイスなのだから

最後まで愛してみようよ

最後まで ぷつんと紐が切れるときまで 繋がったままのあなたが ここにいたことを 一人深い谷で 中に包まれていた夜のことを 最後まで覚えているのは私だから 暗い夢を見た朝も 最後まで あなたがはじめて息を吸う その日まで 愛してみようよ

それから、一歩

繋がっていると そう思えたら 羽を強く持ち上げて 一歩 それから、二歩 息を吸って ほら すぐそこにある これを 自分のものにしたのならば 遠くに消えた光が 誰かのそばにいる 細い細い道を一人旅 その途中で 横にある花を手に取り この花を渡す先へ向かう …

手に届く

坂を自転車で 駆け上る 少年たちの眩しさのおかげで 私はあの空に 手が届きそう 夢に見た空 青さだけが光ではないと 過去にそう伝える ふと呟くと 気付いたらこんなところにいた ああ もう届いているんだ 目を開けると じりじりと太陽は声を上げる 私は夏を…

溶ける時間

殻が張り付いて飛ぶには早い朝 羽が生えた夢を追って 周りに溢れたこの水と小さな手を握りしめて すべてを入れて溶かす 18と23の数を数えて 君の名前をいれて 全部溶かす その間君はどこで待っているんだい

甘くもないし苦くもない

ほんのりと香る風に身を委ねて 気付けば遠い橋を超えていた ここにいる私を誰かが追い越して 隣の街のあの人もみんな隣を駆け抜けて行った 細くて震える手だけが背中をさすった 夢でも見ていたのか 遠い日の本にそう書いてあったのか 甘いものも苦いものも …

不安なことなど

不安なことなど何もないと 泣きながらここに帰ってくる あなたのその背中を見ていると 私の方がなぜか泣いてしまうのです 不安なことなど消え去ってしまったと そこら中に散りばめられた花の色を 見つめる度に あなたに祈りを捧げたくなるのです 夜と夜の間…

誰のものでもない

誰のものでもない道を 霞んで見えないこの道を ただひたすらに もがいてる 見えない星に包まれて ふっと息をかけたみた 悲しいほどの きらめきが 後から にじんで見えました 揺れる夜にまた一人 今夜もここで 星に会う

みんな忘れたころ

誰が決めるものでもなく ただそういうものだと そっと息を吸う いいんだよ ここで ここで 息を吸って 見上げるものに たどっていく 今日は どこまでも 鮮やかになれそうな朝 すっと背を伸ばしたら 飛んでいきそうな春に 手をかざして ふくらんだ服 みんなは…

猫になっていく

奥にある剥がれそうで剥がれない傷を 擦るほどに 涙が遠ざかっていく 晴れる空に変わるまで 光の色を追いかけていく ゆらゆらと揺れる花を見た日に似ている 午後の隙間で 夢をもう一度見ようと 窓辺で猫になっていく

花を手に取った今

月に願うあなたの姿を見て あなたとの朝を迎えることを願うわたし その横で どんな歌を歌っても どんな風が吹いても 時は誰にも知らせてくれないけれど いつか そのまたいつか 夢の奥で あなたとわたしが風がそよぐ丘で踊れること 願っています 花を手に取っ…

ひみつ

胸から込み上げた痛みを そっとなぞって また眠る ここで寝息を立てたこと 誰も知らない街を一人で歩いたこと 秘密の上に秘密を重ねる ふっと息を吹きかけたら 壊れそうな儚さを 抱きながら ここで眠る どこまでも眠る 夢を見ないうちに あなたと眠る

どこまでも行ける雲の上に乗って今日も行く 遠く遠く 近くには何もない ふわりと浮かぶその背中を 誰かが支える 遠く遠く 近くには誰もいない 細目で見ると 微かな光 遠くに見える 無数の光 人差し指ですくったら 誰かに怒られそうで それでもひとり、触れた…

泳ぐ歌

ほんの少しの声と ほんの少しのざわめきの中で あなたは泳ぎ 気がつけば上を向いて息を吸っている 歩く音が怖くて二、三歩立ち止まる夜に 光の粒が溢れて 拾う頃には明日の夢を見ている もう晴れたら もうこの手を離したら 向こうの丘であなたと会える 震え…

誰かへ

ここにいたい 泣いても ここなら すべて飲み込んでくれるから ここで 息を吸いたい 大きな声で 呼んでも聞こえないから 胸の奥で今日も あなたの名を呼びます

小さな人が生まれた

誰かを助けて 笑って 泣かせて 下の下で上がっていく人たちを 踏みつけていく大きい人を 私はゆっくり見ていた 呼吸を止めると 苦しくなるから 大きく息を吸って 歩くだけ歩いた 大きい人は 上から押しつぶされて 消えた 小さな音を立てて そっと消えた 白い…

春を祈るあなたがおかしくて

花を見ていると 眠くなる君の横で私は眠る 寝息をたて 目を瞑り 春を祈るあなたがおかしくて わたし そばで ひとり 笑った 緑のカーテンに包まれた午後 雨が降らない日の花の声が 聞こえてきたから わたし 花と話してくる そこであなたは眠っていて

自分にさよならを

さよなら、さよなら もうすぐそこまで さよなら 背伸びの分まで、 さよなら 夕日の足跡、 追いかけたあの日を 振り返る さよなら さよなら その日に さよなら

ふたりの花

滑り落ちた 光の粒を集めて 届ける前に あなたと眠る ゆらりゆらりと 揺れる花を 見ながら眠る きっとそばにいるだけで 涙が明日に渡るのだから 細い細いその水をつたって たどり着いたのは昨日 深い深いところをくぐって ふたりの花を見つめていた

ふたりで

そこで この日を 見よう ええ、 その日がいいわ いや、 その日に限って 会えないんだもの 違う人の違う日に したいな ふと、ふたりで 決めたものだけが あなたになっていくのだ その日を追いかけて あなたはその人に 会えるのだ いつか 会えるのだ

奥の青

震えるほど 走って 息も遠くなったいったあの日 あなたと出会って 私たちは朝までダンスをして 夏の夜明けみたいに 月の下で大きく息を吸った 目の前の霧が じわじわ広がって そのうち消えた あの日だけが 私たちの一日だったように そうっと 消えた

花の鐘

いいよの音で 鳴る鐘が せわしなく響く 朝の音で 夜のあなたが 目を覚ます 冬の旅が夏の道へと誘って 秋の小道に花を咲かせる そうやって 大きくなっていく花を見て 流れていく波に 葉はしずくを垂らす

強い光を細目で見ている夢を見た 遠くの炎がゆらゆら揺れて まるで僕らの背を焦がしているようで 果実の甘い香りさえ わからないほど 赤に包まれていった 泣いても泣いても いつまでも消えぬ夢の先で 僕の胸の中で息をする君の鼓動が 弾けていたから なんだ…

白いベッド

白いベッドの上で眠る 誰もいない部屋の角で 風に揺られながら眠る オレンジの光が 涙に包まれた昨日を思い出して やわらかな甘い果実の匂いに 心踊る 時々触りたくなる その儚さに 何度も何度も 凍えてしまうあなたに 二人でそばにいられたらと 温められた…

花になる日

精一杯の花が 歌って踊る夢を見た そよそよと川を下り 大きな空を一回転 それから憧れのあの橋を 走り抜けた 夢を抱いた夜を 明日が追いかけて 柔らかく包むのを待つ どこかで聞いた 手を離して 一度回ってみると さらに飛べるようになると あなたは今から …